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Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。

2013年4月6日土曜日

アップルにみる「アート、ロジック、マーケット」

ちきりんさんの「研究者・勝負師・芸術家」というエントリーが面白い。

この3つの要素、本当に大事です。

このことは日頃から非常に重要だと思っていたのだけれども、なかなかこんなふうにまとめられないものです。ちきりんさんの「まとめるチカラ」は本当にスゴいな、と感心しました。


 アップルも本当にこういう感じで経営していて、そのバランスの良さが他企業を大きく凌いだ最大の要因じゃないかと思っています。これはあくまで私なりの「研究者・勝負師・芸術家」の解釈なので、ちきりんさんの意図とはちょっと違うかも知れないけれども、この3つの要素をアップルに当てはめて考え見ました。

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まずは「芸術家」あるいは「アート」。

 「企業が「帝国化」する (アスキー新書)」の中でも書いたけれど、これは非常に重要なポイントです。この「アート」的な感性がないと、顧客の魂を揺さぶるような製品やサービスはなかなか生み出せません。

 売れるとか売れないとかマーケットシェアとか採算とかそういう一切合切を一度蚊帳の外に放り出して、製品のあるべき姿を突き詰めて考えてみる。アップルは完全にオリジナルの製品は少ないけれど、他社が生煮えのまま世の中に出して失敗してしまったコンセプトを、きっちりと煮詰め直して世の中に出すこと、本当に得意です。スマホもタブレットもMP3プレーヤーもミュージックストアもみんなそうです。病的なまでの細部までのこだわり。なんでもかんでもスィーブの手柄にされてしまうけれど、アップルのデザイナーたちって本当にこだわるアーティストの集団です。

 なおこれは製品デザインだけの話ではありません。例えばアップルストアに行くと、すべての店員が端末を持っていて、レジに並ばなくてもその場で会計してくれる。そして領収書はメールアドレスへ。レジに並ぶ煩わしさを解消してしまうイノベーション。実現できる/できないといったことは一度外して、何が「あるべき姿」なのかを考えると、こういう解がでてきます。


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「研究者」、あるいは「ロジック」というのは、要するに「理詰めで考えて実行する」だと思います。

 アップルって言うとすぐにイノベーションガ〜〜という話になってしまうんだけれども、アップルのスゴいところってイノベーションなんかではなくて、むしろこの実行力の部分です。

 トヨタのカンバン方式も真っ青なほどの理詰め。そして愚直なまでにそれを実行するチカラ。アップルを語る上で絶対に外せない要素だと思っています。iPhoneひとつにおよそ500点の部品が必要です。それを156社にものぼるベンダーから購入。iPhoneだけでも3ヶ月に必要なパーツの数は150億以上です。なのに全世界の販売店でのiPhoneの流通在庫はホンの数日分のみしかありません。とことんまで突き詰めないと、こんなオペレーションはなかなか成立しません。

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そして「勝負師」。あるいは「マーケット」という要素。

 どんなにすぐれたイノベーションだって、売れてこそナンボです。どんなにいいものを作っても、利益を生まないのでは趣味の工作と一緒です。イノベーションで見えて来た形を、マーケットに対して訴求力のある、売れる製品として具現化する必要があります。

 しかしモノやサービスを世の中に問うということは博打です。特にそれまで他社が成功したことがない製品や、世の中に存在しない製品を売り出す場合には尚更です。新製品が発表されると、エンジニアまでもが実際にアップルストアに行って行列を自分の目で確認し、夜通しオンラインフォーラムを読みふけって世の中の反響をチェック。セールスでもマーケティングでもない社員をここまで駆り立てさせてくれるアップルという組織。働きがいのある会社でした。(ただし異常に消耗します)

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 この「アート、ロジック、マーケット」という感覚は大企業のみならず、スポーツ選手やミュージッシャン、あるいは自営業者などにもそのまま当てはまる重要な3要素だと思います。文化祭の出し物にさえ当てはまると思う。どこかの企業の株などを買う際にも、こういう観点で考えてみるとまた面白いかもしれません。



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