2011年11月20日日曜日

バス停のある認知症の介護施設

 私がまだ高校生だった頃に非常にお世話になった方が、先日アルツハイマーの介護施設に収容されてしまいました。ご家族の方にとっても苦渋の選択だったようです。かける言葉もありません。

 私の妻はアメリカに移住してから、ある時期アルツハイマーの介護施設でボランティアをしていたことがあります。ボランティアの人にもキチンとした研修があり、非常に整った施設だったようです。そこでの注意点とは、「最近の出来事を患者さんに訊いてはいけない」ということだったそうです。最近の出来事の話をしていると、ふとした拍子に自分が認知症であることに気付いて愕然としたり、鬱々としてしまったりしまうそうなのです。ですのでなるべく安定した感情でいられるように、大昔の話は訊いても良いが最近の話は絶対に訊かないこと、となっているようです。

 さてドイツのデュッセルドルフにある Benrath Senior Centreという認知症の介護施設では、他の世界中の介護施設と同様に徘徊老人の対策で頭を痛めていました。「仕事に行かなくちゃ」とか「両親に会いにいかないと」などと行って脱走してしまうわけです。職員が手分けして探したり、警察のお世話になったりと大変なわけです。また本人はいたって大真面目に「仕事に遅れてしまう」などと思っているわけで、連れ戻そうとすれば当然一悶着起きますし、場合によっては強制的に取り押さえ、引きずり戻さざるを得ません。

 ところがその施設に勤務する職員の発案で、介護施設の目の前にバス停を作ることにしたそうです。バス停とはいっても偽物のバス停で、バスは来ないのです。ベンチがおかれ、標識がおかれ本物ソックリに出来上がったそうです。



 最初は近所の人まで本物のバス停が出来たと思って座ってバスを待っていたりしたそうですが、その都度説明して理解を得たそうです。

 やがてある日、少女になり切った老女が「両親が待っているから!」と施設を抜け出し、そのバス停でバスを待ち始めたそうです。しばらくしてからそのバス停に職員が行って、「バスはまだ来ないみたいですからそこでお茶でも飲みませんか?」と声をかけると、すんなり施設に連れ戻せたそうです。

 その後もそのバス停は大活躍。おおよそ3日に1回程度の頻度で利用されているそうです。バス停で留まってくれることもさることながら、逃げ出した患者のほうもバス停がすぐに目に入るため、パニックを起こしたりせずに大人しく座っているため、以前のように見知らぬ街を徘徊して混乱をきたした患者を職員が懸命になだめすかす、といった必要もなくなったそうです。

 バス停のお陰で徘徊老人をキャッチするのが容易になったほかにも、思いがけない効果があったのだそうです。

 それは職員側の態度です。

 それまでは昔、パン職人だった方が夜中の2時に「パンを焼き始めないと朝に間に合わない!」などと言いだすと、一生懸命「あなたはもうパン屋じゃないんですよ、ここは老人ホームなんですよ」などと説明して懸命に止めたそうですが、今ではキッチンに連れていき、好きにさせるそうです。すると5分もしないうちになんでキッチンにいるのかも忘れてしまい、すんなりとベットに戻せるそうです。

 このようなやり方に「残酷だ」などという声もあるそうですが、自分がボケていることを認識せざる得ないような力ずくで規則に従わせるようなアプローチと、その瞬間は「昔」という現実を生きている老人にある程度好きにさせるのとどちらが残酷なんでしょうか?どんなに本当の「今」の現実を教えても、そのこと自体また忘れてしまうのであれば、自分が生き生きとしていた「昔」の現実を生きてもらうほうが、その本人の尊厳を尊重しているように私には思えます。

 冒頭に書いた通りお世話になった方がちょうどそういった施設に収容されたばかりだったので、ちょっと気になったお話でした。元ネタは、こちら。

The Bus Stop

ラジオ番組です。

応援よろしく!→人気ブログランキングへ

2011年11月9日水曜日

アメリカの電子書籍戦争は第2章へ

アメリカの電子書籍は現在、アマゾン、Barnes & Noble、アップルの3社が激しく鎬を削っています。

去年あたりまでは電子書籍はもうアマゾンの一人勝ちで決まりかな、ってな雰囲気だったのですが、アップルがiPadを投入したことで混沌としてきました。そこにBarnes & Nobleも参入。Barnes & Nobleは当初からタッチパネルを採用した機種を投入し、一気に人気を集めました。

従来電子書籍リーダーといえば、こんな感じでボタンだらけでした。私も持っていますが、ボタン操作が本当に煩雑で、そこが唯一の難点です。



そこに登場したBarnes & NobleのNook Touch。見ての通り、ボタンを排したデザインで、画面サイズはKindle と同じながらも筐体は一回り小さく、操作も実に直感的です。価格は139ドルでした。



また図書館の本を借りて読める機能やePub、pdf などもサポートしているため、Kindle を凌ぐ勢いで売れ始めました。そして続けてカラー版を投入。Nook Color です。僅か249ドルで、これもバカ売れしました。



そこで慌てたのがアマゾン。慌てて図書館の本が借りれる機能をKindle にも追加し、更にタッチパネル方式とカラー版の両方を発表しました。

これがタッチパネル版。Kindle Touch です。わずか99ドル!



そしてカラー版も投入。Kindle Fire です。スペックも大きさもほぼKindle Color と同じで、Nook Color よりも50ドルも安い199ドル!です。



これでNook の死亡は確定かと思っていたら、昨日Barnes & Nobleから新機種と従来の機種の価格改定が発表されました。


Nook Touch はKindle Touch と同じ99ドルに改訂。


そしてNook Color はKindle Fire と同じ199ドルとしています。

おおおおお!!!

なんとも面白い展開じゃありませんか?

更にBarnes & NobleはNook Tablet という新機種を発表しました。249ドルで、HDビデオのストリーミンング再生をサポート。Hulu、Netflixと契約し、そこから動画コンテンツを得る仕組みを作りました。真っ向からKindle Fire と対抗するのは勿論、iPad追撃も辞さない勢いです。

いや〜。面白いです。Kindle Fireも動画再生出来ますが、RAM が512MBしかないため、実質的にマルチタスクをしながらビデオを見るなどはほぼ不可能でしょうし、8GBのストレージでは飛行機の中など、ネットがない状況で動画や音楽を楽しむには非常に厳しいでしょう。ですのでこのKindle Fire、取りあえず魅力は価格だけ、となる可能性も少なからずあると思います。

アップルのiPad は極めて魅力的な商品ですが、Kindle Fire やNook Color/Tablet と比べると倍以上の値段である上、iBookはアップル製品以外ではサポートされないので、Nook やKindle などのようにPCでもMacでも、あるいは iPhone でもiPad でも Androidでも読める、という訳にはいきません。

開発している人達は大変でしょうが、消費者にとっては実に素晴らしい展開になってきました。

さらに素晴らしいニュースをひとつ。

楽天、カナダの電子書籍事業者Koboを約236億円で買収へ

このkoboという会社の端末、大型電気店でよく見ます。詳しい数字は知りませんが、前述のKindle やNook ほどではないにせよ、確実に売れている書籍端末だと思います。



色は白と黒の2色で展開しています。これ以外にもあと2機種ありますが、カラー版が199ドル、現行機種が139ドル、一世代前のが99ドルと価格もアマゾンやB&Nと真っ向から勝負です。Kobo reader はこの端末の他にもiPad, iPhone, Android, PC, Mac とKindle やNook 同様、すべての環境に展開済みです。

この会社の完全子会社化というのは非常に賢い選択だと思います。楽天の海外進出の大きな足がかりになるかもしれませんし、もちろん日本国内での電子書籍の普及という意味においても非常に大きい意味を持つ買収だと思います。

そんなわけで私は電子書籍戦争、2011年のクリスマス商戦を迎えて完全に第2章に突入したと思います。私もどれか1機種買ってみようと思っています。

さてどれにしようかな〜。

応援よろしく!→人気ブログランキングへ

2011年11月7日月曜日

13 Reasons Why ~ 13の理由

"13 Reasons why" 邦題「13の理由」という本を読みました。

このところ読んでいる青春ものの小説ですが、"It's Kind of a Funny Story" ”ウォールフラワー”と違って、非常に暗い話でした。

アメリカの新鋭作家 Jay Asher が2007年に発表し大反響を呼んだ問題作です。あらすじですが...

高校生2年生のクレイの家に、ある日7本のカセットテープが入った箱が送られてきます。送り主は不明。しかしテープの中身は、クレイがずっと思いを頂いていた、つい最近自殺してしまったハンナの声だったのです。

ハンナはその7本のテープの中で、誰がハンナ自身を自殺に追いやったのかを説明してきます。

そして自分を自殺に追いやった、13人の人達に順番にテープが廻っていくよう仕掛けていたのです。もしも次の人にテープを廻さないと、このテープは公表されるとの脅迫付きです。

クレイは順番にテープを聴いていきます。そして解き明かされていく謎、彼女を自殺に追い込んだ同級生達の陰の顔... 一体クレイ自身はどのような形でハンナの死に貢献してしまったのか...

とにかく暗い小説です。かなり辟易としました。

テープからのハンナのナレーションと、それを聴くクレイの思いが代わる代わる描写されるのですが、今までにあまり目にしたことのない手法でなかなか面白くはあるものの、時としてそれがひどく読み辛く感じました。

またちょっとハンナがあまりにも被害者根性でいっぱいでそれも鼻につきました。

そういった部分を差し引いても、かなり面白い小説でした。一読の価値はあります。しかし10代のうちに出会いたかった小説とでもいえば良いのでしょうか?

その一方で、10代の頃にはどんなことが気になったのか、どんなふうに傷付けたり傷付けられたりしたのかを思い出して、懐かしくも戻りたくない「10代」についてちょっと考えさせらりたりもしました。

ユニバーサルスタジオが映画化の権利を買ったそうなので、来年あたりにはスクリーンにお目見えでしょう。ただこれだけ暗いと、映画で観たいかどうか結構微妙な気もします。

日本語訳も出ていますのでいかがでしょうか?かなりよいレビューです。



こちらは英語版。



応援よろしく!→人気ブログランキングへ

2011年11月6日日曜日

ポニーテールとシュシュ

AKB48 って、「可愛い女の子のグループ」っていう以外には何も知らないんですが、自分の兄貴のブログに動画が張ってあって初めて観ました。「ポニーテールとシュシュ」っていう歌です。とっても可愛いし、ビデオもよく出来てるし、こりゃ流行るよな、って感じです。



youtube でこれを観たら、関連ビデオのところにこんなのが表示されてました。


「ABE48 / ポニーテールとシコシコ」

...

思わず観てしまいました。

入れ墨野郎たちがビキニ着て踊りまくってます。

ダンス、妙に上手いです。

ビデオ編集も、やたら上手いです。

めっちゃ高画質です。

思わずお気に入りにしてしまいました。




なんか元気でました。

コアなファンの人達とか、AKB48が汚された感じがするかもしれませんね。

私は本物のAKB48 とこのおっさんたちとで是非共演して欲しいです。


応援よろしく!→人気ブログランキングへ

2011年11月5日土曜日

It's kind of a Funny Story

先日、”It's Kind of a Funny Story”という映画を観たんですが、非常に印象に残る映画でした。

で、この映画、同タイトルのベストセラーの本が映画化されたものなので、本のほうも読んでみました。

ん〜。面白かった。

クレッグという少年が、ニューヨークで最難関のエリート高校に進学するところからストリーが始まります。

中学では群を抜いた秀才だった彼も、この秀才の中の秀才が集まる学校の中では凡人になってしまうのです。

そして親友のアーロンはロクに勉強もせずにマリファナばかり吸っているのに好成績を維持する上に、主人公が好きだった女の子と一線を越えて付き合いだします。

友達に置いてけぼりを喰らう焦り、学校についていけない焦り、両親の期待を裏切ってしまう罪悪感などから鬱病を患い、また拒食症にもなってしまい、ある日自殺しようと決意します。そしてひょんなことから自殺ホットラインに電話し、その日のうちに精神病院に収容されてしまいます。

私もアップル時代に管理職になり、段々出世するにつれて、周りはアイビーリーグの大学院をトップの成績で出たような奴らとばかりとなり、プレッシャーでアップアップした経験があったので、なんだか身につまされるような内容でした。また、当時ごく親しかった友人がプレッシャーで壊れてしまい、精神病院に収容され、毎日のようにお見舞いに行っていたので、主人公が収容された後の体験と、友人のお見舞いに行った時の体験がオーバーラップし、非常に興味深かったです...というかほとんどデジャブーのような感じさえしました。

この小説を書いた作家も精神病棟に収容された事があるそうで、当然ながら細かいディテールにまでリアリティに溢れています。

これも先日紹介した「ウォールフラワー」と同様、青春の成長物語です。実によく書けた作品ですし、英語も平易ですので、英語の学習に読んでみたい方にも強くお勧めします。



そうそう、映画はけっこう小説とストーリーが異なっていました。が、これはこれで非常に良かったです。



映画のほうも超お勧めです。

しかし現代って日米問わず病んでますな... 高校生さえもが麻薬や坑鬱剤やらを飲み、日々を喘ぐように生きています。どうしてこんな生きにくいのか... なかなか考えさせられる映画/小説です。

応援よろしく!→人気ブログランキングへ